其の八 蔵より心
蔵より身より心の財
世には3つの財がある。
蔵の財、即ちお金や宝石など物質的なもの。
身の財、即ち身体の健康状態、身に付けた知識や技能。
心の財、即ち心の豊かさ、人徳、健全な精神状態。
それらを3つをバランス良く養っていくことで、どんな逆境でも乗り越え、人生を謳歌することができる。
幸福であること
人生の目的、それは、最初の講義『始まりの深呼吸』でも話した通り、そうゆうことである。まだ読んでない奴はさっさと読め。
しかし、残念ながらのさながら、お金、即ち、蔵の財を特に重視する余り、逆に不幸になっている事例が世界的に同時に多発している。
例えば、私が世界を放浪し始めた1970年代に比べ、私が世界から陰に陽に注目を浴び始めた2010年代では、世界の離婚率はおよそ2倍になり、その主な理由は蔵の財に起因する。
大きな家に住めない。
車が買えない。
旅行に行けない。
ブランド物が買えない。
高い教育を受けられない。
もっとお金持ちの相手が良い。
これらは全て、蔵の財に重きを置きすぎるが故の不満である。
家が狭い?
ほな田舎に移住せんかい、と。
車が買えない?
ほな借りらんかい、と。
旅行に行けない?
ほな近場で楽しい場所を作らんかい、と。
ブランド物が買えない?
ほな別に買わんでもええやんけ、と。
高い教育を受けられない?
ほな自分で勉強せんかい、と。
相手に金がない?
ほな自分で稼がんかい、と。
不満とは、文字通り、満たされ不るもの。いくらでも解決策があったとしても、欲を張り続ける限り、満たさることはない。
世界で収納術が脚光を浴びた昨今、自分にも思い当たる節はないだろうか?
家に収まりきらないほどの物は、本当に必要だろうか?
そして、それほどの物を蓄えることが出来たという事実は、実は恵まれていないだろうか?
欲しいと思わされたものではなく、絶対に必要なものとは何か。
今一度、冷静に考え、さぁ、宝くじを爆買いしよう。
お金、健康、心
歴史が問いかける。
「これほど豊かな社会に生きながら、どうしてそれほどまでに不満なのでしょうか?」
齢、30にも満たない若輩共が言う。
「生きている意味が分からない」
齢、100を超える方々が応える。
「御茶碗一杯の白米を食べることが出来たときほど、嬉しかったことはありません。」
時代を生き抜いてきた人々は、たった一言で、健康、即ち、身の財の有難さを雄弁に語る。
その後に起きた経済や医療、技術の発達のことなど、その域に達した人間にとっては些細な事なのだ。
使い切れないほどの富を抱えていても、病気で何も楽しめないようでは、より惨めである。健康であってこそ、お金の使い道も生きてくる。
豊かな心があれば、虚栄心や邪念に惑わされることなく、二つの財力を正しく使うことができる。故に心の財が最も大切だ。
心の財を蓄えるには、試練を乗り越えていくしかない。
滝の如く、弛まず良書を読み、朗らかに人物と語らい、恐れず異文化を学び、激しく新しいことに挑戦し、堂々と人を助け、王者の如く仕事に精を出す。
これ以外にない。
雨垂れ石を穿つ。一日一滴でも良い。その積み重ねが不幸を穿つ。
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漢になっちまうぜ?