其の一 始まりの深呼吸
始まりの深呼吸
これより、世界の漢塾、記念すべき最初の講義を始める。
これからの世界を担う諸君は、ノートにメモをとるのではなく、その生命(いのち)に刻み込むように。
それでは、参る。
何のため?
人生の目的、それは、
古今東西、他でもない、何を隠そう、言うまでもなく、言わずと知れた、火を見るよりも明らかで、誰が何と言おうと、
幸福になることである。
しかし現実はどうだろうか?
過労死、孤独死、自殺、いじめ、虐待など、幸せとは程遠い、悲しい報道が後を絶たない。
本来「命」とは、それほど軽いものだったのだろうか?
命のはじまりは、宇宙の息吹き。
奇跡と呼ばれるに等しい惑星の形成、銀河の誕生。
そして億年もの時をかけた生命体の進化。
やがてこの星に生を受けた男女が巡り会い、更に歳月をかけ、命懸けの愛の共闘で授けた生命。
そう、それは文字通り「授けられた」歓喜溢れる命。
中には、妊娠ができない人、やっとの想いで妊娠しても流れてしまった人、死産の人も星の数ほどいただろう。
医療が発展した現代でも、 世に生を授けることすら許されず、悩んでいる人もいるだろう。
その深い悲しみは、世のあらゆる機器を用いても決して計ることはできない。
冥土から死者も問う、
命がそんなに軽いもんかって訊いとるじゃい!
と。
答えは「No」だ。
生きろ!
あらゆる生命は等しく尊く、大宇宙の摂理に従って営まれるべきものである。
自然界の掟は厳しい。
弱肉強食である。強いものが生き残る。植物界にしても動物界にしてもそうである。
しかし、本来、そこには「意図的に相手を不幸にさせるためだけの行為」など存在しない。
自然界は、各々が生きる目的を知っているからだ。
人間のみが、生きる目的を見失い、不幸の連鎖を生む。
誰一人として、不幸になるためだけに生まれてこない。そうであってはならない。
強くなれ。不幸であるならば、それすらも活かせ。
人生は学校である。
そこでは幸福より不幸の方が良い教師である。
– ロシアの文学者フリーチェ
今一度大きな深呼吸をして、冷静になれ。
感情に左右される前に、花のように優雅に呼吸しろ。
誰かを罵る前に、岩のように静かに呼吸しろ。
そして思い出せ、本来の人類の根本的な生きる目的を。
私利私欲は、かえって自分を不幸する。
如何にして誰もが喜ぶかを考え抜け。偽善や誤魔化しではなく、本気で極力みんなが幸福になるよう最善を尽くせ。
それが、我が塾生の生きる基本姿勢である。
シェアする前に考えろ
漢になっちまうぜ?