其の二 異形への畏敬

『異形への畏敬』
宇宙は広い。
人知を凌駕する生命体が存在していても不思議ではない。
一般的に地球外生命体と定義されているが、我々も彼らからすれば惑星外生命体である。
太陽系惑星の一つ、地球と呼ばれる星に着目してみても、多種多様な生命が躍動している。
霊長類、否、人類に限定しても、その種は多様である。人種に個体数の大小はあるにせよ、その優劣はない。
ある特定の人種が、その他の人種に対して、人類的に優れているということは、断じてあり得ない。
神経を研ぎ澄ませ。そして三世の声を聴け。
宇宙規模で乱世を駆け抜けた先哲が、明るい未来に生きる人類が、人種優劣という幻想に狂い差別を繰り返した歴史を嘆いているではないか。
無知の恥
塾生よ、刮目せいっ!
異なるものを恐れ、罵り、虐め、嫌悪することは、己の無知として痛烈に恥じよ。
言語の違い、国籍の違い、色の違い、髪の違い、骨格の違い、体形の違い、これらは恐れるに足りぬ。
心得よ。
常識に囚われて広大無辺の世界を見誤るな。
身体障害者とされる人も同じだ。健常者とされる人と伝達方法が異なるだけで、我々がまだ、その領域に達せていない。
赤子が母胎で機を待つ頃より親の声を理解しているが如く、意思を伝達する術が異なる人にもまた我々の声が届いている。
何も知らないで、哀れな眼で人を見るな。それこそが哀れなり!
鳥には鳥の声が、魚には魚の声が、獣には獣の声が聞こえるように、あとは声以外の伝達手段を健常者なる側が習得するのみである。
手話がその第一歩であると私は信じている。
無知の知
我らが恩師、アインシュタイン先生はこう仰せである。
Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen.
常識とは18までに集めた偏見である
常識なんてものは、場所や時代によって異なる。つまりそれは、物事を熟知しているようで、何も知らないことに成りえる。
無知であるということを知り、古今東西に通用する良識を磨け。世間が言うことを鵜呑みにして、自分と異なるものに恐怖や憎悪を抱くな。
和の国と称された日本。「和」とは、異なるものを尊び、学び、融合させていくことを意味する。
古の日本を支えた民衆は、異なる姿形に憎悪ではなく、畏敬の念を抱いて取り入れてきたのだ。
乱世に生きる我が漢塾の生徒達よ、お前たちは何時いかなる場所でも偏見なき眼で世界を観よ。
自分の眼で見て、耳で聴いて、心で語れ。
如何なる困難にもぶれない堂々たる身近な人の柱となれ。

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漢になっちまうぜ?